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自主リサイタル「バッハの憧憬 ─ ブクステフーデのオルガン芸術」

自主リサイタル「バッハの憧憬 ─ ブクステフーデのオルガン芸術」

今年のリサイタルは、Dブクステフーデの作品を取り上げます。皆様のお越しをお待ち申し上げます。

日時: 2025年 11月28日(金) 午後7時00分開演 (午後6時15分開場)

場所: 東京カテドラル聖マリア大聖堂

入場料: 一般4,000円  BWV会員 3,500円

同時入会新規受付中 (2026年5月末まで有効 。会費500円) (BWV会員チケット、会員お申込みのお取り扱いは、アレグロミュージックのみ)

チケットは「お問い合わせ」からご連絡ください。当日受付で用意いたします。

ブクステフーデは、ドイツ・リューベックの聖マリア教会のオルガニストを務め、ヨハン・ゼバスティアン・バッハもその演奏を聴くため、リューベックを訪れたことで知られています。彼の作品は、バッハの周辺で筆写され、現在に伝えられています。とりわけ有名な筆写譜に、バッハの兄ヨハン・クリストフ・バッハによるとされる『アンドレアス・バッハ本』があります。バッハが幼少期から、ブクステフーデの音楽に触れていたことは確かであり、楽譜も盛んに筆写されていました。
現存する最も古いバッハによる筆写譜『ヴァイマル・タブラチュア』には、ブクステフーデの《今ぞ喜べ、愛するキリストのともがらよ》BuxWV 210が記されています。この作品は、15分を要する長大なコラール幻想曲であり、バッハが10代前半でこれを筆写したことには驚かされます。当時、このような規模の作品は非常に稀でした。おそらくバッハは、この作品を通して、ブクステフーデの音楽、さらには北ドイツの大都市リューベックに強く憧れを抱いたのでしょう。
ブクステフーデの作品を演奏すると、バッハとは異なる音楽観が感じられます。もちろん両者の活動時期は異なりますが、それ以上に活動した土地の文化や社会背景にも大きな違いがありました。ブクステフーデは、ハンザ同盟の盟主リューベックにおいて、豊かな商人層や芸術を愛する人々に支えられていました。そのような環境の中で、彼は「アーベント・ムジーク」と呼ばれる演奏会シリーズを開催していたのです。彼の作品には、聴衆への訴求を意識した、いわばエンターテインメント的な側面が見受けられます。どのように聴衆に音楽を提示するかを熟慮しながら、創作されているのです。一方のバッハは、敬虔なルター派の信仰に根ざしたテューリンゲン地方の出身で、音楽にも質実剛健な特徴があります。ブクステフーデ作品に見られるような「大見得を切る」表現は、バッハの作品にはほとんど見られません。バッハと比べると、ややマイナーに感じられるかもしれませんが、バッハがどのような音楽に憧れ、それがどのように彼自身の音楽に影響を与えたのかを探る貴重な機会としたいと思います。ブクステフーデの作品のみを聴く演奏会は、決して多くはありません。ぜひ皆様とともに、彼の素晴らしいオルガン音楽の魅力を味わい、バッハが何に惹かれたのかを探求するひとときをご一緒できれば幸いです。
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。